乳製品はフランスと同じ緯度にある北海道の生クリームや発酵バター、卵は主に地元の平飼いの有精卵を選び、チョコレートやヨーロッパ産のフルーツなどもテイスティングした上で出来売る限り上質な物を探し求めて使い、価格が高騰しているバニラなども主にタヒチ産の物を使うなど、常に味をバージョンアップさせる事だけを念頭に置いて厳選を続けています。
生クリーム
LA CREME
世界最高品質の乳製品を生み出すのはフランスのノルマンディー地方です。
一口食べると羽のように軽くミルクの香りが口いっぱいに広がって、とても口どけがいいのです。おまけに低脂肪。その生クリームに最も近かったのは、タカナシ乳業さんのクレームフルーレットと言う生クリームです。
クレームフルーレットの生産地は北海道根釧地区。
そこは日本のノルマンディーといわれており、緯度がほぼノルマンディー地方と同じです。気候がノルマンディーに近いと言うことは牛の体調を維持させるための大切なポイントですし、餌の牧草の品質もまた気候によって決まるのです。つまり、気候でクリ-ムの味が決まるということです。
卵
L'OEUF
私たちは一般的な卵からよりナチュラルな平飼いの有精卵の卵にシフトさせていきます。
ただし、それは売り文句にすると足りなくなった場合面倒くさい事が起きるのでゆるくいきます。
平飼いの卵は鶏小屋で大量生産される卵ではないので、毎日集められる量は鳥の都合によるものです。よって、繁忙期は普通の卵も使いますのでだいたいMURATAの菓子の80%は平飼い有精卵の卵になります。ゆくゆく100%を目指そうと思いますがお客様からみた問題は平飼い卵は卵黄を黄色くさせるための餌を与えていないためそれで作ったプリンやチーズケーキカスタードクリームの色味がだいぶ白くなるという事です。
日本だけかはわからないですが、卵黄の色が濃い事を好む市場なのでかなりオレンジ色の卵黄が多いです。しかし、実際には卵黄の栄養価や風味とは関係なく色を濃くする餌を与えるか否かという事です。
卵本来の自然の卵黄の色はオレンジというより薄いレモンイエローに近い感じです。
という事で今後菓子の色が白っぽくなっていきますが、平飼い有精卵の卵はケージ飼いの卵より高価なので原価はかかっていてよりナチュラルだという事を理解してくだされば僕らも鳥も報われます。
よろしくお願いいたします。
塩
LE SEL
日本でフランスの焼き菓子を作ると、塩辛くコクのない味になってしまいすごく悩みました。もしかしたら同じ塩でも日本とフランスの塩では何かが違うのではないかと思い、それからいろいろな塩の成分を調べたのです。
それでわかったことは日本のものはフランスのものより、しょっぱさの決め手となる塩化ナトリウムが3倍近く多くて逆にコクの決め手となるミネラル分がすくないことなど。
早速フランスに渡り塩を何種類も買い求めそれでお菓子作りをしたら、大成功!しかし買ってきた塩もすぐにそこをつき、知り合いから送ってもらったりしながら菓子を作っていました。
今では塩の専売制度も廃止され色々な国の塩が自由に手に入る時代となり、それぞれの塩を用途に合わせてこだわった菓子ができるようになりました。
たとえばガレットやサブレ系の硬い焼き菓子の中には小さな塩の粒が残るように作っています。
そうする事によって塩の刺激が味覚に新たな喜びと驚きを引き出します。
*MURATAではフランスブルターニュの塩の花(フルールドセル)を使用しています。
バター
LE BEURRE
フランスのバターは日本のバターとは違い乳酸菌で発酵させたバターなので、ほのかに酸味がありヨーグルトのような香りがします。ノルマンディー牛がだす濃厚で良質なミルクで作られたバターは、日本のそれとはまったく別物です。
本物のバターを使いたくて何十種類もの国内産バターを取り寄せて、それでクリームを作ってみたり又溶かしてみたり焦がしたり、色々な状態でテイスティングをしましたが正直困りました。
バターに関してはいまだ納得がゆくものとめぐり合うことができません。
それでも国内でもっともヨーロッパ産に近い性質を持つ『よつばの発酵バター』をみつけることができました。このバターとの出会いにより、フランス式のパイがより美味しくなりました。
ショコラ
LE CHOCOLAT
クリオロ種カレネロ・シューペリオールという豆だけで作ったチョコレートが気に入っています。クリオロ種は収穫量が少なく、カカオ豆全体のたった5~10%しかないのですが、とてもおいしいチョコになるのです。
友人の竹内さんが南米ベネズエラから直輸入するエルレイ社のクリオロ種チョコレートはスパイシーでウッディー、強烈な個性で、そのまま食べると頭が南米に飛んでいくような感覚になるほど恐ろしく力強い素材です。現に竹内さんはそのチョコレートに魅せられて、世界的に有名なヴァローナチョコレートの輸入会社を辞め、当時荒削りだったエルレイのチョコレートを一流の味に引き上げるために、二度と日本の土を踏めないことを覚悟し南米に飛び立ちました。
しかし、その後エルレイはベネズエラ独裁的な国内政治の混乱により今まで通りのクオリティーのショコラを輸入することが困難になってしまいます。そして、今まで培ってきた情報網を駆使し、次に選んだのは陽気な国コロンビアのフレッシュです。まるで果物を思わせるようなルカカカオというショコラです。
ショコラはヴァローナ、ルカカカオ、カオカ、・・・などを中心に使い分けております。
これらのメーカーは正しい社会理念の下に上質なショコラを提供している会社です。