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  • 執筆者の写真MURATA

クレームブリュレが大きく生まれ変わりました

この度念願だったクレームブリュレ専用オーブンを導入することが叶いブリュレ販売30周年という機会にバージョンアップをすることができました。

震災2年前に一度 間違った設備を入れてしまい、それに付随する給排水電気などすでに300万円以上つぎ込んでいました。 細く制御しきれない機械について対策を思案している最中に震災の津波により設備が流され、それから5年が経過。やっと最適なバージョンのオーブンを導入する事が出来ました。

一つのお菓子のために500万円近くの費用と7年以上の時間を費やして辿り着いた事なのでなんとも言えない思いがこみ上げてきます。実際は30年前からずっとブラッシュアップは続けています。

例えば容器ですが、下の写真は左から30年前の容器、知っている人いるかな?

真ん中は20年前、アルミカップは15年ほど前から現在。


●30年前に細長い容器にしたのは、表面のキャラメルの甘さを減らして食べやすいようにしようという試みとアトリエが狭かったために保存スペースを有効利用するための工夫だったような。容量は70cc


●真ん中のココット型に変えたのは少しストックスペースが広がったためと箱に入れた時の持ち運び(重量)を考慮してこれも容量は70cc


●アルミのカップは現在のものですが、より中身に原価をかけたいという思いと、たくさん味わってほしいという思いで価格はそのまま容量は38%ほど増やし約100cc近くにアップ。


このカップのコストを減らしたおかげで一般的なバニラの倍の価格のタヒチ産バニラを使うことができた。



写真はタヒチバニラの一級品。

普通のバニラには含まれない アニスのようなエリオトロピンという芳香成分を含むブリュレには、このタヒチと溶剤を使わず水分のみでナチュラルに抽出したブルボンバニラのエキスを使用。


新しいオーブンは湿度、温度、ともに1%単位でコントロールできる上に、毎日専用洗剤で庫内を自動洗浄してくれるので、使い続けるうちに温度センサーが焦げ付いてその汚れからくる低温調理でのブレがない。


それでもまだまだブレるので贅沢を言えばもっと正確にキープできるものが欲しい。 (車で言えば平地は元より急な登りでも下りでも 200kmのスピードで1kmもブレないで自動運転する性能)


なんども80〜95度の温度帯をあらゆる湿度と時間で内蔵以外の温度計も使い庫内と芯温をチェック。



砂糖はもう一つの悩みの種。


ブリュレを焼く砂糖は本来カソナードという風味豊かな砂糖で焼くのですが、風味が豊かということは精製されていないのでその不純物が焦げやすい。よって、今までは味もそっけもない食感と焦げ味だけの、高級バニラにはお似合いとは言えないグラニュー糖を使わざる得ませんでした。


これまでなんども試してきましたが、オーブンの性能が追いつかずに諦めていました。ですが、今回はこのオーブンを使うことで焦げやすいカソナードを加工することに成功。

それをきっかけに、理想的な砂糖を探しまくりフランスではなく日本の喜界島のあるメーカーの島ザラメが素晴らしい相性を見せたのでその素材で実験を繰り返しました。


この喜界島の砂糖はバナナやナッツや大地の香りがする優しい甘さが特徴なので弱い火でゆるりと溶かしながら火を入れたいのです。


一旦オーブンで湿度を補いながら砂糖の融点を下げて溶けすぎないように板状につなぎ、オーダーが入ってからブリュレにのせて焦がし過ぎないように細心の注意で密着させるように焼きます。



ムラが少なく均一に溶かされた島ザラメ糖。

今までのグラニュー糖のキャラメルとは全く次元が違う風味です。


駐車場で速攻で食べるお客様もいますが数時間置いて食べるのが理想。


一応ディスポーザブルのスプーンはつけるのだけれど、これだけの手間をかけたものを食べるのには相応しくないのでディスポーザブルのスプーンは縮小したいサービスです。

だって自宅でも使う人がいるので。。。涙


それでもすぐ食べたい人は金属のスプーンくらいは持参してほしい。自販機で買った缶ビールをそのまま飲むのと適正温度に冷やしたビールを冷やした薄手のグラスに丁寧に注いだビールは同じ銘柄でも天と地ほど味が変わるのと同じようなものですね 。


シルバーかステンレスのデザートスプーンが最適です。

ティースプーンのような小さなものでは小さすぎます。


ついでに書きますが、タルトが固くてとかミルフィーユがうまく食べれないと時々聞きますが、レストランのようにナイフとフォークで食べてください。小さいフォークは使い道が違います。


命がけで作っているので、命を味わってください。


特殊製法で作られたキャラメルは購入から約8〜10時間ほどかけてゆっくりと溶けてゆきます。(環境によって溶ける時間は変わります) 

焼きたてのパリパリしたものも美味しいのですが、喜界島のザラメ糖は砂糖自体の旨味があるので、キャラメルにしてから数時間後、1/3ほど溶けて蜜状になった部分と薄氷状にシャリっと残るキャラメルととろけるバニラクリームが口の中で混じりあうそんな頃合いがたまりません。


食べる時間に余裕があるときは、お好みの状態を探してみてください。 ご購入から数時間後皆様に夢のような最高の瞬間が訪れることをお祈りいたします。


今までのブリュレとはあまりに違うので1度や2度食べただけでは理解仕切れない美味しさが潜んでおります。現に僕も毎日何度も食べ続けて一度やめてまた再開して食べて

この文章を修正に至っております。

20年先まで飽きない味を狙ったので、今気に入らなくとも徐々には気にいるようになって

食べる時間を逆算してお店に来る変人が増えることを願ってやみません。


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